愛するものを失うということは、とても悲しいことです。それが病気であろうと、事故であろうと。
私は今まで、飼育放棄された犬や引退犬を飼ってきました。ロックは16年、クロは18年、二匹とも
老衰でした。ロックはある日突然、眠るように亡くなりました。クロは2週間ぐらい寝たきりになり、
息を引き取りました。二匹とも予測しうる死で、覚悟はできていました。
エリーの事故は朝の8時20分頃、起きました。車体全部の日陰に寝ていたエリーを友人が車を発進
させ、知らずに引いてしまったのです。
エリーが事故にあう前に、車の前の日陰で寝ているエリーを見て、危ないなと思いました。しかし、
その時、私はエリーを移動させませんでした。日陰がそこにしかなかったからです。今年の北海道は
例年に比べ、とても暑かったのです。
今回の事故は一つの原因で起きているわけではありません。バリケンの入り口の方向が反対だったら、
エリーは、バリケンに入っていたかもしれません。
エリーが動けるようにとリードを2本つないでいたのも、あだになりました。一本なら、友人は車に乗る
ときに見えたかもしれません。
つまりいろんな条件が重なり、エリーの死につながったのです。しかし、私が「危ないな」と思ったときに
移動させておけば良かったのです。
美浜原発事故も幼児を車に残したまま熱射病で死なせてしまう事故もエリーの事故も原因は同じだと
思います。
「こんな事はおきないだろう。」という慢心から生じるのです。私が言うまでもなく、こんなことは
わかっているはずのことなのに・・・・・。
愛するものを失わないために、ちょっとしたことでも事故につながる可能性があるということを忘れては
いけないのだと思います。
今回のエリーの事故では、多くの人に慰めていただきました。本当にありがたいことだと思います。
また。世の中にはこんなに優しい人たちもいるんだなということを再認識させて頂きました。
ハーバード大学医学部教授のアンドルー・ワイルさんが著書「癒す心、治す力」で次のようなことを
書かれています。
「その患者さんにとって、最良の薬とは、その病気から立ち直った人の話を聞くことだ。」
この場をお借りし、多くの方にお礼を申し上げたいと思います。
2004年8月21日 クリ